MubaoMasato

落下の解剖学のMubaoMasatoのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.2
「落下の解剖学」
息子が犬の散歩から帰ってくると、お父さんが雪の上で頭から血を流しながら死んでいた。それは、家に一緒にいた母も気づかない死であった。そこから、検証や法廷を経て、罪を決めるが、それは全て解消はせずに罪を決めなければならなかった。

いやー、滅茶苦茶好きですね。これは、観客に真実を委ねる能動的な姿勢なのは、ヨーロッパで受けてるのも納得です。
まず、フランスの裁判のやり方とか見たこと無いので、服とか裁判長の言葉を遮って、証人が割って入ったり、多機能翻訳があったり、検察側も聴衆に訴えると言った今まで日本とアメリカの裁判しか見てないなとこの映画を見て、思いました。

そして、内容は全てが真実なのか、嘘なのかが分からずに、罪を決めなければならない裁判にもタイムリミットがあるという時間制限で妥当な判決を出さなければならない。嘘や真実もあると言い、その殺害現場を見てないのが、一番の問題。もし、郊外でなければ、こんな事件は解決しただろうに。ずっと裁判はどうやって死んだのかが分からなかった。

そして、夫婦の会話を録音した時のシーンが一番のこの映画の魅力です。夫は執筆に集中したいのに、過去の自分の不祥事や子供との関係で、時間を取られまくっている。それを妻が勝手に夫の作品を盗作して、自分の著作として販売し、人気者になる。いやいや、それは関係がぶち壊れますやん。そして、それが爆発した夫だけど、妻が暴力も言葉も鋭利で、この録音を聞くと、夫が可哀想と思う。だけど、これが殺害の要因となっているかといえばそうだが、当日やったかで言えばそうではない。

そして、ラストの妻の毎回の笑顔が今の裁判中を何とも思ってないように感じてしまいました。息子が選んだ決断は、いや、俺なら絶対無理だわ。

全てが妻の思うように進んだようであり、周りも計画通りだったのかも。ゴーンガールを思い出す本作でした。
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