ちょっと予定調和すぎたか。犬が全てを解決する、というのも含めて。
ウクライナ情勢を伝えるラジオ。こういう社会問題をちょっと絡めるのもこの監督らしさがあるが、本作に限ってはあまりうまく折り合っていなかったように感じる。戦争という大惨事と、キャラクターたちのミクロなトラブルは、どうしたって対比される。うんざりしてチャンネルを変える仕草は、ラジオの向こうで何人死傷しようが、こっちは「それどころじゃない」と言っているようにすら読めてしまった。そうじゃないことは中盤で明かされるが、彼女が本心から異国の戦争に憂いているというのも不可解だ。それは事実、彼女の(そしてこの物語の)トラブルとは関係がないからだ。
『デッド・ドント・ダイ』のくだりでみんなちゃんと笑っていたのは一体感があったが、上映後に拍手するほどの映画でもないだろう。