奏良

関心領域の奏良のレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
5.0
まさに関心領域ってタイトルがぴったりな作品。気分が悪いエンドロールのインパクトに持ってかれたけど、本編でぶっ飛んだ印象のシーンは少なかったかな。それこそがナチスと観客の関心の違いなのだろうけど。雪()遊び、温室閉じ込めごっこ、燃え盛る窓の外。彼らにとってそれが普通になっていた事、そのど真ん中で確かに幸せを手に入れていた事、恐らく事実も近しいのだろうが居た堪れない。そのすぐ近くに善性で行動する少女が普通にいるのも良かった。人間の中にある思いやりの方向(=関心)が少し違うだけでこうも見え方が変わるのかと思った。

闇の中でルドルフを見つめていたのは殺戮の被害者たちであるだろうが、その中には俺たちもいたと思う。吐くに吐けない彼を見つめる目はさぞ冷たかっただろうよ。賞は受賞してもしなくても。
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