ロールシャッハ

関心領域のロールシャッハのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.9
花は美しく咲き誇る🌺

ザンドラ・ヒュラー演じるヘートヴィヒ・ヘスは都会からやっと離れ、念願の田舎暮らしがアウシュビッツ収容所と壁を隔てた隣の敷地!
プールや庭園があって充実している様子。

しかし、壁の向こうでは銃声や悲鳴、燃える音が聞こえ、1時間に400体の荷が燃やされて煙が煌々と立ち昇っているのに、ヘス夫人は関心がないようだ。
関心があるのは夫のルドルフの転勤より今の自分の生活を守ることだけ。

人間は目の前の小さな関心にすぐ反応するけど、大きな問題に関心を向けようとしないんだなと思った。

そして、その綺麗に咲き誇る花の肥料にユダヤ人を焼却した灰が使われていて、ヘス夫人が良い匂いでしょ?と言ってて、どんなホラーより怖いと感じた。

この夫婦の角度から作ろうと閃いたことに驚嘆!観客はあえて何も映し出されない壁の向こうに関心を向けざるを得ない作りになってる。
海や国境をこの壁と置き換えたら他人事ではないんだけどね。

好きの反対が嫌いではなく"無関心"というのがユダヤ人に対しての一番の侮辱だと思う。
途中、現代の時間軸で収容所が博物館として映られるが"関心"を持つことの重要性を感じた。

終盤にルドルフは使命感やストレスから来ているのか、えずいていた。
バッドエンドが待ってるのは言うまでもない。
どんな人にも当てはまるけど、目を向けない者は滅びるのかなと…
洗えば罪は落ちるって考えてしまいがちだが、決してそんな事はない。

ルドルフが娘を寝かしつける場面で、ユダヤ人の為に少女が命懸けでリンゴを仕込みに行ってる場面が印象的だった。
パンフレットには少女がリンゴを置くという非人道的な環境の中の尊い姿をサーモグラフィーで"エネルギー・熱"として表現したのとこと。
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