汀ミギ

関心領域の汀ミギのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
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A24の新作ということでずっと楽しみにしてた!公開してから初休日のため映画館は結構埋まっていた。

アウシュビッツ収容所の隣に住む家族の話。
父親は収容所の所長で仕事もでき多額の収入も得ていた。おかげで豊かな生活を送る家族。綺麗な家に、広い庭。四方を壁に囲まれ当たり前のように機械音や悲鳴が聞こえる。逃げ出した囚人を脅す声や、煙突から噴き出す炎が見える。
でも関わりたくない、見たくない。全て変わってしまいそうだから。豊かな生活を守るため、これは正義。

最後は訴えかける終わり方だった。
階段の踊り場で咽せる?父親の姿。医者に診てもらっていたので体調がすぐれなかったのかもしれない。そのままスクリーンの方を見つめると、現代のアウシュビッツ収容所が映し出される。引き戻されるように、階段を下るシーンへ。何食わぬ顔で階段を降りていく父親。
これは目を逸らす、声を上げないということを伝えたかったのかなーと思った。父親は明らかにアウシュビッツの悲惨さをみてきたはずだ。(がヒトラー配下にいる限り正しいと思うのかもしれない)
現状の世界でも豊かさの裏には地獄がある。私たちは媒体を通じたり、直接身近な地獄を見ている。でも君も私と同じで見てみぬふりだよね?と言いたげなようだった。


編集では特に花が何枚も映ってだんだんと画面全体が真っ赤になっていくところが印象的だった。血の直喩?

音楽が常に気持ち悪くてさすがA24!
特にエンドロールが気持ち悪すぎて、早く終われ〜と思ってしまった。
ユダヤ人のためにリンゴやいちじく?を撒く少女のシーンも印象的だった。
汀ミギ

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