ミーミミ

関心領域のミーミミのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
5.0
この映画は、映画館で観ないといけない。

聴覚による想像力を駆使して壁の向こうを感じる

想像を絶するいのちの旅を強いられた幾千何万の音を聴く


動物は、本能で感じた。

純粋無垢な赤ん坊も。


欲を知った人間には無理なのかな

人は他人にも自分にもウソをつくから。



だけど、心と身体は正直で。

次第に、壊れていくんだね。



あの川みたく。

逆らえないんだ、みんな。

溢れんばかりの怒涛の流れだった。

もう止まれないんだ。

どんどん、どんどん、加速に拍車がかかるばかりで。


きっとあの人も、動物好きな良い人だったんだろうに…


でも、もう、別人。

妻さえも自分の知ってる妻ではなくなり。



行き着くその先につき進んでいってしまうんだ。

恐ろしい。人は。ほんとうに。



搾取で成り立つ幸せ。

いのちの搾取で。

人のいのちで育む生活。

すべて踏み付けたうえに傲慢に君臨する。


バランスは果てしなく不安定で。

いつかは破綻する。





追記
ヘスの吐瀉物が映らないのは
作品がヘスが吐瀉することを許さないから、か

または、吐瀉するものはヘスに巣食って、心身から出ていきようがないから、か


ps.
連れてこられたユダヤの女性に、気高さと誇りと 怒り を感じたよ



林檎。林檎。林檎🍎暗視カメラは心の発光体。温もりは消えない。


弟の「もうするなよ」をずっと考えている。
弟は、林檎の少女のことを知っている。


ー馬ー
ヘスが馬に吐露する場面で
聴いてあげ慰めるように額をヘスに付けていた馬が一瞬真顔でヘスを見つめたね。

ー散歩中の犬の飼い主さんと立ち話ー
質問したら、犬はオスだったね
ヘスが飼っていた犬はヘスと誕生日が一緒!と嬉しそうにヘスが言う



ー母親の来訪ー
母は使用人としてつかえていたご主人が収容所に連れていかれたあと「(主人の持ち物の)カーテンを狙っていたのに、他の人に取られて悔しい」と言っていた。
なんとも母と娘はそっくりで。

ただ母は、娘ほど肝がすわっていなく
壁の向こうを感じないで済む距離に逃げていった。

そしてそんな苦悩した母の置き手紙も、容赦なく炉に焚べる娘。このシーンが私は一等怖い。




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ユダヤの民よ
不屈の燃えたぎる命の力強さよ

精神の自由はなお大きく羽ばたき、
映画とともに、詩となり世界を駆け巡る
ミーミミ

ミーミミ