げんげん

関心領域のげんげんのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.9
カンヌ映画祭審査員特別賞、アカデミー音響賞、アカデミー国際長編映画賞受賞。

発想や設定は素晴らしいがストーリー展開は微妙…そんな感想だった。なので★4.0以上にならなかった。

設定が秀逸と思う。「実際の映像を見せずにホロコーストを描く」というのは非常に難しいと思うが見事に成立したと思う。見るのではなく音を聴く、という映画も珍しい。観客誰もが実際に目の前で展開されている退屈な日常風景よりその奥から聞こえる銃声や叫び声に耳を傾けるだろう。アカデミー音響賞はオッペンハイマーではなく、この映画なのは見たら皆納得すると思う。私もその1人。また、家族が収容所のユダヤ人から押収した毛皮や洋服、使いかけの口紅までも使用するシーンもホロコーストの悲惨さをよく表現したと思う。

原作では収容所の中も描いているそうだが映画ではその部分は大胆にカットし、架空の存在だった収容所所長も実際に所長だった人間と家族を調べ、この映画を作り上げたのも凄い。

ただ、どうしても映画としては退屈なのである。少し寝てしまった。短編だったら間違いなく傑作だったと思う。

しかし…そんな感想を持ってしまう私も「無関心」なのではないか?と。監督はこの映画に対して「ユダヤ人ホロコーストは80年も前の話なのになぜ今も変わらないのか。」というメッセージを出している。この映画を退屈と感じる私は監督に「お前も無関心なんだね」と言われているようでもある。

2024年49本目
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