エリザベス

関心領域のエリザベスのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.5
地味に怖い映画でした。
アウシュヴィッツの強制収容所隣の敷地に住む、ドイツ将校一家の何気ない日常。
隣で大量虐殺が行われているのに、一家は憂いもなく幸せに暮らしている。ユダヤ人の遺品である毛皮のコートを着たりと、なんの痛痒もなく、戦時中というのがにわかには信じられない。
妻の母親が遊びに来て、日中は贅沢にお茶飲んだりして過ごすんだけど、夜になって隣の敷地の阿鼻叫喚が聞こえてくると、翌朝、手紙を残して去ってしまう。
それが印象的だった。
ヘスの妻はその手紙を読んで『何よ?』て感じが恐ろしい。
そして何よりもこれは何も戦時中に限ったことではなくて、現代に置き換えたって、要するに人間は自分が痛くなければ無関心だってことだ。ウクライナ、ガザ、北朝鮮、アメリカに来る大量不法移民、みんな最初は騒いで時間が経つと無関心に。誰の心にもある底知れない恐ろしさだと思った。
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