やりえる

関心領域のやりえるのネタバレレビュー・内容・結末

関心領域(2023年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

はっきり言おう、上映中二回眠った。
最初のタイトルから本編までの時間は特に耐えられなかった。
終わり際も眠ってしまった。多分作品に興味を持てなかったのかもしれない、お母さんに腹が立っていたのも事実だ。

最後のカットが現代に変わる場面、そこで私は私に落胆した。興味を持たなかったことがある意味正解で、それを訴えかけてきているのかと。

壁を1枚挟んだ場所にアウシュヴィッツ収容所があるのにも関わらず、理想の暮らしを追い求める家族。全員で食事をし、パーティーを開き、近くの川にあそびにいく。隣に劣悪な環境があるのにだ。

現代のカットでも、当時の悲惨な様子が伝わってくる場所のはずなのに淡々と掃除をする清掃員達。そして、映画館の椅子で眠る私。

この作品で一番人間だったのはお婆ちゃんだったかもしれない。咳が止まらなくなり、煙突から出る煙を見つめる。そして、急に家からいなくなる。唯一「この環境はおかしい」と気が付いたのかなぁと。

あえて興味から人間を遠ざけて、最後にそれが狙いだったと訴えかけてくる。人間て自分と関係無かったらそんなもんだよね、と。アウシュヴィッツの歴史的背景が表向きのメッセージだとすれば、人間の興味、いわば全く目に見えない「関心領域」を露にする作品だったのかも。
見終わってからこんなに悔しい作品は今だかつて存在しないかもしれない。
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