珍しいコンセプトの映画。
壁一枚隔てて、天国と地獄なんだけど、描写としては天国面しか映さずに物語は進んで行く。
撮り方も変わってて、まるで家をミニチュアのように扱っている。
ドアから出ていくシーンの後に、切り返してドアに入って行くシーンが来たり、普通はそんな無駄なシーンは要らないけど、強制的に見せられることで、この家族のすべてを客観的に俯瞰しているような気分になる。
BGMも終始デビット•リンチのような不協和音が鳴り響いて気持ち悪さを引き立てている。
ストーリーも皮肉たっぷりで、今の暮らしが天国のようでずっと続けて行きたいと思っているナチ幹部家族と、
非人間的に毒殺されて灰にされるユダヤ人の地獄の対比が嫌味たっぷりに浮かび上がる。
主人公のだらしない腹と清潔感溢れる髪型と白シャツが、バランスが悪くてとても印象的でした。