映されていないものを、否が応でも見つづけさせられる。人に勧めてまわりたい映画。
暗い画面の中、合唱のような不協和音が数ヘルツずつ徐々に下がっていき、恐ろしい世界に引きずり込まれたかと思いきや、家族が川遊びをする牧歌的な映像が始まっていく。そこからは、直接的な恐ろしい行為は何一つ見えないものの、絶えず背後にある光景が脳裏に浮かんだ状態で彼らの生活を見ることになる。
途中、唐突に挟まれる異色なシーンも良い。
最後は、はじめとは逆に、上昇系の音階が少しずつ高くなっていって、もう観ているこちらまで追い詰められているような気持ちにさせられる。(実際こわすぎてここで涙が出はじめて止まらなくなった)
映画館でメガネをかけようとケースを開けてみたら肝心のメガネが入っておらず、自分に呆れた…。目でしっかり見るべきことがたくさん散りばめられているとおもうので、また機会があればしっかりと観たい。
これがカンヌグランプリ受賞ということで、パルムドール(落下の解剖学)はどんなすごい作品なのよ？！と逆に気になってしまった。
