Matthew

関心領域のMatthewのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.5
地獄の横で幸せな生活を営む家族の話

こちらもアマプラ解禁とのことで視聴。ドイツ生活にも少しずつ慣れ、そろそろドイツ語勉強しようかなと思った矢先、この映画視聴して「あれドイツ語無理じゃね?」となっています…

まず、大前提として、自分が好きか、人に勧められるかという点で点数つけていますが、客観的に点数つけるとしたらもっと高いです。ヒトラー最後の12日間とか、ジョジョラビットとか今までこの話題に関しては様々な角度で描き尽くされたと思っていましたが、なるほどこれは凄い。一歳ショッキングなシーンは存在せず、あくまで平和な家族の日常その一点のみを描いてます。BGMもほぼ使わず、殆ど環境音のみでの構成。映像も定点カメラのみを使用していて、家族を監視カメラで覗き見をしているような感覚。もちろん歪んだ家族であることは、映画の節々で感じることができ、多少なりとも不快感を持ちますが、それ以上に物語、登場人物に感情移入する余地がなく、ただボーッと観ていると退屈な映画になり得ます。

家族の日常、つまり家族の関心の外に耳目を向けると、壁の向こう側からずっと吐き出ている煙、うっすら聞こえる謎の機械音と銃声、そして叫び声。サブリミナル的な演出が日常シーンと共に続き、幸せな家族を覗き見て終わるか、関心を別ベクトルに向けてしまうか。最後の演出は、関心をどこに向けるか、というメッセージだと捉えると思いますが、じゃあこれはナチスについてだけなの?台湾有事やNATOの動きはニュースで常に放送されていますが、それは無関心でいられるのか?果たして関心持ってニュースを観たとしても、100年後に自分が見返した時に果たして自分は関心を持っていたことになるんでしょうか?

Zone of Intersetは、もともとナチスがアウシュビッツ周辺をInteressengebiet.と呼んでおり、それを訳したものですが、それをナチスの関心領域という2つの意味で描き切った手法は見事です。そりゃアカデミーで映画賞や音響賞取るわけですね。A24の中ではWAVESの方が好みだし、ホロコーストならジョジョラビットの方が好みだし、正直人にお勧めできる作品とは言えませんが、映画の新たな表現方法として素晴らしい作品なので未視聴の方は是非。

エンディングの曲、センリツの闇のソナタかと思った。
Matthew

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