アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所。
110万人を超えるユダヤ人、ロマ、同性愛者、政治犯罪者がそこで殺害され、ナチスの全強制収容所の中で最も多くの死者を出した施設。
たった一枚の壁を隔てただけの隣で暮らす、所長ルドルフ・ヘスの家族たち。
豊かな家庭菜園、美しい庭園の花々、パリッと洗われた清潔なシャツにワンピース、豪勢な食事、立派な邸宅。
子供たちは庭のプールや川で遊び、大人たちは読書やおしゃべりを楽しむ。
そんな豪邸で一度に500人を処分できる焼却システムの会議をするルドルフたちナチス軍の面々。
ルドルフが昇進し別の土地に移る辞令が出ても、今の幸せな暮らしを捨てたくないという妻。
かたや焼却炉の匂いや銃声に耐えられず夜逃げしてしまう妻の母。
「無関心」とは違う。
あえて考えない姿勢を貫くことで贅沢な暮らしを手にしていたいのだ。
それを恐ろしいと感じるか否か。
100ml先の出来事だから?
100km離れた先の出来事なら?
1万km離れた先の国で起こっていたら?
今日も世界のどこかで誰かが理不尽に殺されている。
でも私はふかふかのベッドで眠る。
それは無関心だからなのでしょうか。