リオン66

ゆとりですがなにか インターナショナルのリオン66のレビュー・感想・評価

2.0
 宮藤官九郎が描いたコロナ禍後の令和日本の地獄巡り。

 ゆとりですが何か。ドラマとスペシャルドラマ鑑賞済み。テレビドラマの続編ということだが、まったくの別物としての映画版だと勝手に思った。

 確かに、ドラマでのお約束の展開やセリフなどはある。吉田鋼太郎やでんでゆも相変わらずに良い。しかし、ドラマにあったような一人一人のぶつかりはない。ゆとりが抱える苦悩も、もう存在しない。3人の主人公たちの、あの微妙な空気感はかき消された。

 あるのは、ゆとり世代産んだ日本よりも、さらに悪化、劣化した日本。この日本が主人公であるような気がした。

 コロナで振り回され。
 外国には遅れを取り。
 外国人を助けるといいながらも自分が助けられ。
 教育での愛は語られなくなり。
 セクハラ問題。
 オンラインを通し、人とつながり。
 外国のセクハラ問題とハロウィンをオマージュ。 
 人の殴り方もわからなくなり。
 などなど。

 混迷した日本が、これでもかとモンド映画。見世物のように描かれる。その中であの三人は、狂言回しのような立場だ。だから、成長もしなければ、彼らにとっての大きな発見はない。ただ、ただ、いつものように、いままでのように生きているだけだ。この令和の主人公で日本で。

 やはり、変わったのは舞台の日本だけなのだろう。今後も、3人を通して描かれる日本を見てみたい気もするが、ドラマであったように葛藤がなくなってしまうのはさみしい。とはいえ、大人になってしまった3人が、また振り出しに戻るのは酷なことだろう。

 綺麗に完結したドラマの続編はやはり、難しい。
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