宮藤官九郎が描いたコロナ禍後の令和日本の地獄巡り。
ゆとりですが何か。ドラマとスペシャルドラマ鑑賞済み。テレビドラマの続編ということだが、まったくの別物としての映画版だと勝手に思った。
確かに、ドラマでのお約束の展開やセリフなどはある。吉田鋼太郎やでんでゆも相変わらずに良い。しかし、ドラマにあったような一人一人のぶつかりはない。ゆとりが抱える苦悩も、もう存在しない。3人の主人公たちの、あの微妙な空気感はかき消された。
あるのは、ゆとり世代産んだ日本よりも、さらに悪化、劣化した日本。この日本が主人公であるような気がした。
コロナで振り回され。
外国には遅れを取り。
外国人を助けるといいながらも自分が助けられ。
教育での愛は語られなくなり。
セクハラ問題。
オンラインを通し、人とつながり。
外国のセクハラ問題とハロウィンをオマージュ。
人の殴り方もわからなくなり。
などなど。
混迷した日本が、これでもかとモンド映画。見世物のように描かれる。その中であの三人は、狂言回しのような立場だ。だから、成長もしなければ、彼らにとっての大きな発見はない。ただ、ただ、いつものように、いままでのように生きているだけだ。この令和の主人公で日本で。
やはり、変わったのは舞台の日本だけなのだろう。今後も、3人を通して描かれる日本を見てみたい気もするが、ドラマであったように葛藤がなくなってしまうのはさみしい。とはいえ、大人になってしまった3人が、また振り出しに戻るのは酷なことだろう。
綺麗に完結したドラマの続編はやはり、難しい。