のわーる

愛にイナズマののわーるのレビュー・感想・評価

愛にイナズマ(2023年製作の映画)
4.8
映画監督デビューを目前にして全てを失ってしまった折村花子は、その憂さ晴らしに立ち寄ったバーで運命的な出会いを果たし、再び夢を追うことを決意する。折村自身が経験した“母の失踪”をデビュー作のテーマに決めていた彼女は、10年ぶりに父と連絡を取り兄弟を招集することに…。

笑って泣ける痛快コメディドラマ。
冒頭、映画業界の闇が描かれていて興味深かった。夢を社会に搾取されてゆく彼女の姿は、夢を持って上京して就職した経験がある人にとっては“あるある”な展開すぎてつい共感してしまう。
そこで迎合したり挫折したりせず、エゴを貫いてゆける彼女の図太さこそが、映画監督になるための大切な素質なのかもしれない。

彼女の家族が実家に集まってからはコメディが加速してゆく。
“役者が揃う”とはまさにこのこと。誰もふざけてないのに何かがちょっとずつ変で、つい笑ってしまう。会話の間合いなんだろうな。真面目な人ほど面白い。

後半、この家族に隠された謎が少しずつ明かされてゆく。なぜ母は失踪したのか。

家族っていいなと思える作品。泣いてしまうとは予想外だった。
観終わったあと、きっと大切な人をハグしたくなる。
のわーる

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