末期戦ドイツを西部劇に嵌入するその試みだけで喝采を送りたい。
主人公の脱走兵、訳あり農女とその弟、イカれたSS中佐(自己本位なロマンティシズムに惑溺したカス)、粗野な武装SS曹長、アル中善良トラウマ抱え神父、狩猟マダム、クソ馬鹿似非ナチ村長、アバズレ(とその抜けてる手下ども)、家畜、兵隊等々が織り成す1945年4月西部戦線における勧善懲悪ウェスタン。
西部劇が好きならば、かなり笑える作品ではないだろうか。
・人物のディテールが描きこまれている。端役にもその人生を感じさせるカットがあって、人によっては煩わしいのかもしれないが僕は好ましいと思う。
・一番好きなシーンは「輸血」の場面。敗戦間際、あまたの戦争犯罪の累積で先のないSS曹長一行にとっての妙な希望としての金塊への執着がちょっとグロテスクなくらい表出されている。ド悪役の曹長だが、時折見せる茶目に俳優の技量を感じてしまう。
・音楽は露骨に西部劇なので多少食傷になるけれど、最後の英語の歌謡曲は平和の訪れを感じられて良かった、なんていう曲何だろう。もっと音楽に詳しくなりたい。