このレビューはネタバレを含みます
この映画を面白いと認識するためには、主人公ローレンスとある程度距離が離れている必要がある。
自分のように近すぎると、共感は羞恥に近い感情としてこちらにぶつかってくるから、こうなってしまう。
(そりゃ、父親の自殺や鬱と言った経験こそないが、ちゃんと呼吸が出来なかった経験はあるので)。
映画だけが全てで、一人の親友を除いて友人もいない、その前情報だけで入ったら、ローレンスが思った以上にいやな奴なことにまず驚く。
そりゃあ恵まれた環境の中にいるとは言いがたいけど、少なくとも理解者はいた(マットはもちろん、母親もかなりそう。アラナは少し違う距離感かな)。
でもローレンスは会話をキャッチボールしようとせず、相手の気持ちを推し量りもしないし、NYUへ行って映画を学ぶ以外に人生の選択肢がないと本気で思い込んでる。
監督の自伝的要素を含む映画ゆえに、自省要素が強いとしても、彼の言動はあんまり観てていい気はしなかった。
自分にもマットに近い立ち位置の人物がいたなら、この大いなる自省に巻き込まれた感情移入が出来たかもしれないけど、出来なかった。
ローレンスは自分にとって、近くて遠いキャラだったよ(最後の最後で自分がどうダメかと言う本質に気づいた点も含めて)。