マインド亀

ドリーム 狙え、人生逆転ゴール!のマインド亀のレビュー・感想・評価

2.5
感動を盛り上げようとする過剰な演出、ホームレスに対する偏見を助長するキャラ設定。良くない部分が有り余る一作。

●『梨泰院クラス』のパク・ソジュン主役、『エクストリームジョブ』のイ・ビョンホン監督という面白そうな座組にも関わらず日本では配信スルーだったので、よっぽど内容がアレだったんじゃないかと思って恐る恐る観た一作。結論からいって、ツラい一作となりました。

●『エクストリームジョブ』と同じく、多数のキワモノキャラクターがチームを組んで努力し、成功していくという流れは同じものの、流石に実話ベースのスポーツものとは食い合わせが悪かった。おそらく韓国で感動をよんだホームレスの代表サッカーチームの国際試合というのは、その圧倒的実力の差でもあきらめず一点をとる、というシンプルながらも力強い「あきらめない」というメッセージだからこそ全国民が感動したのでしょう。だからこそ、映画化するにあたり、あまりにもシンプルなストーリーラインにパク・ソジュンの監督のバックグラウンドを補填したり、ホームレスのキャラクターを膨らませたりするしかなかったんでしょうが、それが余計にしか感じられないし、何より長い!としか思えませんでした。

●『THE FIRST SLAM DUNK』というスポーツムービーの決定打が出てしまって以来、どう考えてもストーリーはシンプルで、試合は緻密でスピーディな方が興奮できることがわかってしまったので、もう本作のような演出は古臭すぎるように感じてしまいました。
意味もなく「アッ」とか「ウッ」とかぶつかったり怪我したりするシーンをつなげるだけでは退屈すぎるし、中身のない試合運びを盛り上げるために、うっとおしいほど感情面を解説する実況と、観客の声援と、感動的な音楽などの全ての過剰な演出に辟易しました。なんだか質の悪い邦画の質の悪い演出を輸入してしまったような、スローモーな感動演出、最近の韓国映画に多いのが気になります。『新感染列島』も終盤スローモー演出でダレてしまいましたしね。これは邦画と同じく、嫌な傾向なんじゃないでしょうか。
もうスポーツものは全て『THE FIRST SLAM DUNK』形式でいいんじゃないか(柳下毅一郎段)という言葉の通り、この作品もそれで全てうまくいくような気がします。

●また、気になるのはホームレスのキャラ設定の際どさ。『エクストリームジョブ』ではキャラがクセの強いキワモノに設定されていても、それは警察なので逆に面白かったりしたのですが、本作のホームレスには逆に笑えない部分があります。なんだかホームレスに対する偏見がわざわざ強くなるようなキャラ設定にする必要があったのか。面白みを重視していたずらにホームレスの偏見を助長するような作りにするのはいかがなものか。それらはホームレスワールドカップの理念に反するようなものではないかと思います。

●パク・ソジュンののキャラ設定もなんだかよくわからんのですよね。色々ストレスが溜まっているのは分かるのですが、あの試合運びであんな行動します?まあ、IUとの軽快なやり取りもそれなりに面白かったですが、IUのキャラクターもなんだかどっちつかずで面白みがない。なんだかふたりともどっちつかずな感じで大変もったいないなーという印象でした。
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