マインド亀

ガンヘッドのマインド亀のレビュー・感想・評価

ガンヘッド(1989年製作の映画)
2.5
とうとうみたぞ!ガンヘッド!

●子供の頃、コロコロコミックで特集されていた『ガンヘッド』。その掲載されたページに心躍らせたものの、実際に映画館に足を運ぶことなく、今まで観ることが叶わなかった映画なんですが、UNEXTに入ってると知り、子供の頃の期待感そのままにようやく鑑賞することができました。
いやー観ることができて本当に良かった。あの頃の自分の気持をようやくお焚き上げできました。うん。やっぱり世間の評価通りの作品だったぞ!

●当時は原寸大のガンヘッドが作られたという、邦画では相当高い予算で作られ、小学生男子にとって話題性はめちゃくちゃありました。で、近所に住んでた年上のお兄ちゃんが一足先に映画館で観てきたので感想を聞くと、「あー、うん、まあ、ね。よくわからなかったよ」という微妙な反応だったので、なんだか急に熱が冷めてしまったのを覚えております。
この作品の製作されたときは『逆襲のシャア』の翌年で、空前のガンダムブーム。ガンダムのサンライズと、特撮の東宝のコラボは流石に期待値マックスだっただけに、逆に観に行かなかったことで自分の中で『ガンヘッド』を神格化してしまってたみたいなんですよね。おそらく、分かる人にしかわからないカルト的な作品なんだと。
で、観てみた感想はと言うと、うん。やっぱり世間の評価通り良くわからない作品だったぞ!(またかよ!)

●想像してた以上に重機でしたね。流石にここまでSFのセットを作り上げたことは感嘆するしかないですし、ミニチュアの精度も高くガンヘッド自体はカッチョ良いし、特撮も素晴らしいんですけど、いかんせん重機すぎました。もうね、重機同士のぶつかり合いでしかない。もうちょっとロボットよりのアクションできんかったんかいな…とも思ったのですが、流石にそこはリアル路線の中のハードコアなストイックリアル路線だったんだと思って許しましょう!

●そして国際色豊かな魅力あふれるキャラクター達!ですが、序盤で颯爽とほとんど舞台から消えます(笑)
ええー?めちゃくちゃ楽しそうなメンツばかりじゃんよ!
もうこの時点でかなり脚本を整理しにかかってる(もしくは役者の予算を減らしにかかってる)んだと思うんですが、ここから高嶋アニキの独壇場なんですよね。この頃の高嶋アニキはSMを愛する変態紳士ではまだなくて、『ガンヘッド』、『ZIPANG』、『ゴジラvsメカゴジラ』『ヤマトタケル』と東宝特撮映画の雄としての伝説の始まりの時期。この高嶋アニキ演じるブルックリンは、メカニックだからパイロットにはなれないよ!と言うことで、いわば不能の象徴なんですが、そこでブレンダ・バーキ演じるニムに奮い立たせられるといういかにもなドラマ展開。多分『もっとあぶない刑事』くらいの時期なんで、そこらかしこにジョーク交じりの軽口があふれるのが80年代後半〜90年代前半的だなあと思って懐かしくなりました。もうちょっと洗練されると『カウボーイ・ビバップ』みたいな感じになるのかなあと思ったり。

●とにかく、先程も書いた通り、めちゃくちゃ個性的で楽しそうなクルーで話を勧めてほしかったのですが、全員死んじゃうんですね。で、そこからヒロインと高嶋アニキと、突然現れた子役二人で話が進むんです。こう、なんでみんな子役を使いたがるんでしょ。別に子役が悪いわけじゃないんですが、この時期観客だった小学生達だって、大人のハードな物語を観たいと思うんですよね。なのにコロコロ世代の映画には必ず子役が出てくる。こういうサービス、小学生的には全く要らないよなあ、と今見てても思うんですよね。だからこそこの物語の消化不慮なところを漫画やノベライズ、ゲームなどで外伝的に補完してるのですが、ガンダムのヒットを考えるとやっぱり制作の判断は間違ってるかな、と思いました。

●とにかくメカトロニクスやセットの豪華さは、一部『ブレードランナー』にも負けてないんじゃないかと思うのですが、いかんせんそのストーリーが頭に入って来ないんですよね。申し訳ないですが、セリフの聞き取りがしづらいこともあって、なんでいきなりガンヘッドを組み立てることになったのか、追手は一体何者なのか、そしてどこに何をしに行くのかが最後までわかりませんでした。そしてどうすればこの映画のミッションクリアなのかが全くわからない…ちょっと贔屓目に見ても辛すぎる内容です。本当に好きなんですよ。みんな好きなんですけど、編集や脚本、キャラクターの位置感覚、画面の見づらさ、演技の下手さ、など総合的に見て、映画下手なの?っていう感じが否めずこの得点に。本当にもったいないです。できればもっと好きになりたかった…

●そういえば来年2025年はガンヘッドにおけるカイロン5の反乱の年です!色々と盛り上がる機運はあっていいかなあと思います!厳し目のレビューですが、好きで思い入れのある作品です!ぜひ観てください!
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