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四月になれば彼女はのskyのレビュー・感想・評価

四月になれば彼女は(2024年製作の映画)
3.9
すごく美しい映画です。
とにかく絵作りにこだわりを感じ、カメラをやっている人なら特に画角などを気にして作っているところに目がいくような作品です。

フィルムカメラでの撮影をするシーンが点在しており、また、その写真を撮ることが作品の中心にもなっているため絵にこだわりがあるのかなと感じます。
ところどころ他の作品ではあまり使われないような画角からのカットがあり、またそれぞれのカットでの人と構造物の配置にもこだわりがあるように感じられ、ぜひその辺りにも注目していただきながら見ていただきたい作品です。

内容は、藤代役の佐藤健さんを中心に現在の彼女の弥生役を演じる長澤まさみさんと大学時代の元カノ役の森七菜さんの3人で主には構成されます。

結婚を目前に弥生が藤代の前から忽然と姿を消してしまうところから始まり、なぜ彼女がいなくなったのか、どこへいってしまったのかをゆっくりと解き明かしていきます。

ただ、ここの解き明かしていく過程には弥生との思い出が半分、春との思い出が半分となっており、物語終盤まで何故春との思い出が織り交ぜられるのかがわからない作りとなっています。

そのため、始まりから長い時間何を言いたいのかが不明瞭で、どこにいく着くのか想像出来ません。
終盤にそこへと繋がったときに、なるほど!となりますが、ずっとわからないままに進むため、感情移入するところまでいけず、自分は感動のシーンでこの作品では泣くことはできませんでした。

ここは1度しか観ていないため憶測ですが、2回目以降ではそれぞれの視点に立って観ることができるためとても感動できる作りかと思いますが、初回では難しいと思います。

内容の中で印象的だったのは、藤代がいつまでも弥生がいなくなったことがわからない時にタスク役の中野太賀さんから言われる、『人間てのは 憎い人より そばにいて愛してくれる人を 容赦なく傷付ける』という台詞です。
これを言われた時にとてもハッとさせられました。
これは、傷ついたことがある人からしか生まれない言葉であり、傷つけていることを自覚したことがある言葉でもあると思い、自分に置き換えてすごく考えてしまいました。

この言葉の意味をすごく分かったような気もするし、ただ、それでも完全には理解できていなくて、これからも自分の大事な人を傷つけてしまうんだろうなと思いつつ、そんな時には、またこの作品を見たいと感じました。

本作は、カメラをやる方や長く恋愛してパートナーと最近上手くいっていないと言った方に特におすすめしたい作品となっています。
是非劇場で写真、映像の美しさを感じていただきたいです。
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