ミミ

四月になれば彼女はのミミのネタバレレビュー・内容・結末

四月になれば彼女は(2024年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

藤井風の「満ちてゆく」とセットの作品だと個人的には解釈した

そしてとっても、とっても、暖かくて暖炉の前にいるみたいな作品だった。焦らなくても大丈夫。って言ってくれるみたいな。安心して涙が出てくる。

映画が終わったあとに満ちてゆくが流れて満足感がぐっと上がったし、上映中は泣かなかったのにエンドロールで曲がかかった瞬間から涙から止まらなかった。

愛を終わらせない方法について、それぞれの人生を送ってきた人が間接的に答えを主人公たちに与えていると思った。とくに正解らしい答えを出していると思ったのは2人。

1人目は緩和ケアホームにいたおばあちゃん。車で会いにきてくれていた旦那さんが素敵だとスタッフに褒められると、そうかしら?と。でもね、さっき撮った写真の彼の表情はこんなに長い歳月を共に過ごしていても見たことないものだ、と言うのが初心を忘れていないことを表してた。どんなに長い年月を一緒に過ごしても、相手について知らないことや相手が変わっていって初めて知ることはある。だから愛に終わりなんてないんだ。

2人目はシングルマザーの病院の先生。愛を終わらせない方法を主人公のフジが聞いたら、そんなものがわかっていたら離婚はしていないと。わからない、それがいいのかなと思った。何でもかんでもわかろうとせず、流れに身を任せて、いつかわかるまで待ってみる。それが結局人生なのかな。

愛を得ることを、幸せになりきってしまうことを、「満ちる」だと始めの方の弥生は思っていたけど、それは違うのだとこの映画はずっと否定していた。誰かの人生が終わる時、人との繋がりが切れる時、いつのまにか名もない「それ」は満ちてゆく。だから焦らなくて大丈夫だよ。そんなふうに優しく教えてくれる作品だった。暖かい。
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