叡福寺清子

裸足になっての叡福寺清子のレビュー・感想・評価

裸足になって(2022年製作の映画)
4.3
イスラム原理主義が台頭し女性の自由が著しく制限されようとした時代.ファッションで,その強権に抗った女性を描いたのが『パピチャ 未来へのランウェイ』でした.その監督であるムニア・メドゥールが今一度リナ・クードリとタッグを組んで,少し先の時代を描いたのが本作.こんばんわ.三遊亭呼延灼です.

バレエダンサーになる事を夢に、激しいレッスンにも耐えてきたフーリアさん.その頭にはヒジャブはありませんでした.そう,内戦が終結し自由を謳歌できるようになった時代.それでも内戦の傷は癒えず,ある女性は息子を原理主義者に奪われた事実を受け入れきれず,岸壁の母よろしく事あるごとお出迎えの為にバス停に向かおうとします.また、フーリアさんの母親はご主人を助手席に乗せて運転しているところを原理主義者に咎められ,さらにはご主人を銃殺された事がトラウマとなり、長年運転ができない状態になりました.そんな母親の為に車を購入する資金を賭け事で獲得したフーリアさん.しかし,負けた相手に因縁をつけられ口論の末階段から突き落とされます.命だけは助かったフーリアさんでしたが,足を骨折,さらには声が出せなくなってしまいます.失意のどん底に叩き落されたフーリアさん.ですが,リハビリ施設で出会った女性と交流し,ダンス教室を開催する中で生きる希望を見出すのですが・・・

不幸が波状攻撃でやってくるフーリアさん.それでも生きることを一度も諦める事がなかったフーリアさんの瞳は素晴らしく,リハビリ仲間と遠足に行った先で事故後初めて踊ったシーンには,不覚にも呼延灼号泣してしまいました.
どれだけの不幸が積み重なっても,人は生きていく事を強いられます.それでも生きていくことが辛くなったら,大槻ケンヂが「いい天気だからもう少し生きてみよう」と言ったったように空を見上げ,海を見つめ,地に触れよう.フーリアさんの強い瞳にそんな想いを感じ取った呼延灼でございました.

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なんか真面目っすよね.つまんないですよね.せっかくなんでいい話をぶち壊しますが,フーリアさんの中の人であるリナ・クードリさんの尻に刮目してください.一瞬ヒップラインがわかるシーンがございます.別の意味で感動すること間違いなし!でございますよ.