ピロシキ

瞳をとじてのピロシキのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
4.4
嗚呼。31年間映画製作から離れていたビクトル・エリセ。主人公はまさしく監督の分身。それにしても、デブュー作「ミツバチ」からちょうど半世紀を経て、アナ・トレントが放つあの一言。正直、あの一言のためだけに生まれた作品だったといっても過言ではない。全身総毛立ちだ。

記憶は曖昧になり、薄れ、やがて失われるものなのかもしれない。だからこそ、人間の生命を記録し閉じ込めることのでき得る、映画というフォーマットの永続性は際立つ。これはエリセから送られる人生への賛歌、絆への賛歌、そして映画への賛歌だ…それを受け取りつつも一方で、人生への、絆への、そして映画への、畏怖のようなものをも感じる。映画なんて軽はずみに作るもんじゃない…映画作家としての自らのキャリアに落とし前をつける集大成。そやな、そやな……
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