Monsieurおむすび

瞳をとじてのMonsieurおむすびのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
3.9
#瞳をとじて
スクリーンの中では消えた誰かを探しているらしい。
その冗長とも呼べる時間は映画とエリセが、私たちとエリセが離れていた時間を咀嚼する為に余分に取られているよう。
また、視覚とは別の、脳内だろうか?眠気の先の瞼の内側だろうか?
とにかく瞳をとじて見つめた光景は、さっきまで咀嚼していた時間で、サルベージされた沈んだ記憶のようなもの。
ミゲルとフリオ、フリオとアナ、劇中劇のスクリーンの向こうと観客席の各々、そして「瞳をとじて」と私(達)
台詞や仕草、画面の細部に映画史を投射して、見つめ合い、投影し、記憶とアイデンティティを揺り動かす至高の体験。
31年もの空白と熟成、エリセにしか成し得ない奇跡を目の当たりにしたのだと思う。
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