RYUYA

瞳をとじてのRYUYAのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
3.5
主演俳優の失踪から約20年の時を経て、映画監督が彼を探し、人生を追想する。

冒頭の長い1ブロックが終わり、2つ目に入ったところで「あ、そういう話なんだこれ...」となるという、構成の先制パンチ。『オトナ帝国』ばりに引き込まれました。そのパンチがラストシーンに効きまくってるのもさすが巨匠のワザというか。全編にわたる"間"の使い方や、俳優たちの顔の強さ、素晴らしい撮影・照明が織りなす画面の哀愁と色気。重厚な体験でした。プロット的には私立探偵モノなんだけど、物語を通してビクトル・エリセが伝えたいのは「これが映画の力だ!」ということがビシバシ。配信全盛の世情の中で、いまいちど劇場体験というものの再考を観客たちに促す、パワフルな作品でした。

それも分かるし、絶対正しいんだけど、今作で盛り上がれるのは"映画好き"だけなんじゃないかとも思い、なんか寂しくなった。客層はハッキリと二分される渋さは確実にあるし、169分、正直長ぇわな、とも思った。

こりゃ家でスマホいじりながらサブスク観てるくせに「人がいると集中できないから映画館行かない」とアンケートで答えたどこぞのケツ毛野郎とかは絶対観れないな...。
RYUYA

RYUYA