ぽんずぼん

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。のぽんずぼんのレビュー・感想・評価

2.6
2024年初映画館。

これは脚本が原因なのでしょうか。
主人公百合の行動原理と全体的な時間の流れが全く理解できず、所々の話に付いていけませんでした。
まず、百合がなぜあそこまで彰を愛し、なぜあそこまで戦争を抑止しようと動けるのかが分からない。
確かに岡田健史さんはカッコ良いし僕も好きです。
ただ映画の中では最初に食堂へ案内しただけ(そもそもなぜタイムリープして体調不良?)ですし、あそこまで愛するにはあまりにも時間が短すぎる。
しかも2回目会った時は既に食堂の仕事に慣れていて、鶴さんとも仲が良さそうだが、時間の流れを脚本から感じられないから、感情が追いつかない。
(千代ちゃんが石丸さんに恋をしていることは、その前の過程があると思うのでまだ理解できます。)
それに戦争に行く意味を問いたいのは分かるものの、必死に止めようとする理由が正直あまりない。

あとは空襲。
孤児が亡くなっているシーンは本当に胸が痛いし、戦争の恐ろしさを改めて感じられた点は良かった。
一方で百合は鶴さんのことが心配で焼け野原に行く訳だが、次のシーンでは鶴屋食堂は変わらず営業。
あの焼け野原は一体何なのだろうか…

最後に書きたいのは、百合の台詞に何度もなっていた「戦争はもうすぐ終わるんだよ。」といった言葉。
確かに日本としての第二次世界大戦は終わる。
ただ先日塚本監督の「ほかげ」を観てしまった影響からか、戦争が終わる=生活が良くなるといったニュアンスの映画構成に少し疑問を持ってしまった。
当時の方々の気持ちは到底分からない。
それでもあの台詞で片付くものではないと思う。

戦争映画はあまり観たことがなかったので、改めてもう少し丁寧に描いている作品から観ようと思いました。今年も好きな作品に出会えると良いです。