夫・文則(田村健太郎)との仲が冷え切っていた綿子(門脇麦)は、友人の紹介で知り合った木村(染谷将太)と度々会うようになるが、木村との関係を揺るがす出来事が発生したことで、穏やかな日常の歯車が狂いだしていく。
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登場人物はそれほど多くない会話劇。でもとても緊張感があってサスペンスさえ感じた。
主人公の綿子と文則の会話を聞いていると旦那の文則の話し方が「この人、無理」って感じがして面白かった。悪い人じゃないかもしれないけど、理詰めで攻めてくる感じがしんどい。田村健太郎の演技が抜群に上手かった。
物語は綿子が大きな悲しみを受け入れるまでの物語だと思った。愛する人の死を旦那にバレた瞬間に受け入れる、それまでは彼女の中では木村の死はどこか現実感が無かったのだと思う。
彼女がなぜ、文則と結婚したのか?彼の財力に惹かれたのか、でもそれだけじゃない二人でお酒を飲むシーンのとてもリラックスした感じとか意地悪な演出だと思った。
お墓であった木村のお父さんが語る犬の事故の話、綿子は救急車を呼ばなかった自分のことを考えていたのだろうか。
恋や結婚の愛情には賞味期限があるってことなのか。愛がなくなっても情が残れば関係性は続けていけるとは言うが。
綿子は木村を亡くしたことでその大きさを再認識したが、それは思い込みでもあるのか?
心地よい場所を失った喪失感、その原因でもある自分、いろいろ抱えていても日常生活や人生は続く。どうせ続くなら少しでも前向きに生きられれば。