うかりシネマ

哀れなるものたちのうかりシネマのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

脳を損傷して赤子ほどの知能となった痴人・ベラが世界を冒険するロードムービー。
ヴィクトリア朝ロンドンの華美に反してベラを“造”ったゴドウィン博士は人体実験を厭わぬマッドサイエンティストで、家には犬と鳥を継ぎ接ぎ合わせた「鶏イヌ」を飼っている。

純真でありながら無垢ではないベラは、本能のままに行動しながら驚くべき速度で知性を獲得していく。
悦びを知り、絶望を知り、自立するさまは早回しの人生であり、旅路自体が人生の相似となる。

ベラの目を通して描かれる外国はサイケデリックな色合いで現実味がなく、浮いたCGで描かれる船も独特の可笑しさがある(1/29追記:船はミニチュアでした)。
多用される魚眼レンズに目まぐるしく変わる美術で飽きさせない。
性に翻弄される前半も面白いが、性と哲学が混じり合う後半も興味深い。エロ、グロ、ナンセンス、ブラックジョークが乱れて最高。