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猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)のうかりシネマのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

『新世紀』から2年、猿と人類の戦争は激化の一途を辿っていた。
前作から直接の続編なので前段を省き、戦闘の最中から始まる。しかし、早々にキャラ数を減らして戦争からは遠ざかり、シーザーと生き残った米軍を束ねる大佐との戦いをヒロイックに演出することになる。

オリジナルメンバーだけだとシリアスすぎて辛気臭いのは分かるが、ジャー・ジャーやドビーのような子供向けの分かりやすいコメディリリーフと人間の子供をパーティに追加して、人類を終わらせる話のはずなのに何故か対象年齢を下げてくる。
子供に関しては擬似家族として機能することもなく持て余す。完結のために不要なキャラを追加することで膠着したドラマを回すのはよくあるが、カンフル剤の役割にもなれていない。

ALZ-113の変異種により人類全体が失語症になるという設定こそ出てきたものの、猿は(112が遺伝により性質を強くするというのに)依然流暢に喋らないし、人間社会の模倣もしない、あの洞窟も出てこない。
前作をスケールアップした人類の最終戦争をやるわけでもなく、ありものの素材でやれることをやっただけ。
本来なら二作目で戦争をやり、三作目ではこの辺を拾いオタク的機知に富んだ、『猿の惑星』との整合性を楽しむものにすべきだったのに、そうはならなかった。

シーザーの精神性を掘り下げているので一作目に近く、前作よりは見やすい。前作で一線を超えてしまったシーザーが、コバの幻影に悩まされたりコバと同じことをしてしまうというのも面白い。
とはいえ脱獄だったりが一作目まんまなのはどうかと思うが。シーザーを庇ってゴリラが死ぬ展開までトレースしてるし、オマージュとかのレベルじゃない。