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哀れなるものたちのFAZのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.3
見る前はR18だし、マッドサイエンティストな設定だし、クセ強すぎて自分に刺さるか不安だなーと思ったけど、杞憂に終わった。むしろ最高だった。

見終わった後の満足感や心の充足感がすごい。
そしてエマストーンの演技に度肝を抜かれた。噂に聞いてはいたが、予想以上だった。すごいの一言。ベラに完全に魅了された。最初と最後では別人。

作品のテーマとして、ファミニズムを描いていると言われているようだけれど、私は特に女性が男性に虐げられている世界に対しての女性の解放!みたいな最近流行りの内容には感じられなかった。

むしろ、女性でも男性でも、誰しもが自分の心と身体、そして人生は自分自身のものであって、他人の価値観や評価で縛られるものではない、という人間の在り方を描いているように思えた。

また、無知で無垢なベラが、外の世界に出て冒険をし、様々な経験から成長していく過程の中で、知恵は進歩や進化、幸福になるために使うものという核ができていく姿にハッとさせられた。

アインシュタインの知識で、原爆が生まれてしまったように、知識が悪い方向に使われてしまうことが多い世界だ。
でも知識や知恵ってそういうものじゃない。知識や知恵は、自分自身や自分の周りを豊かにしていくもの。だから身につけるし、それを活用していくんだと、当たり前のことのはずなのに忘れていたような気がした。

ベラがどんどん自由で聡明で自立した女性になっていく姿が最高にかっこよく眩しい。
本当に最高だった。また見たい。
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