ごまだんご

哀れなるものたちのごまだんごのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.3
とにかく変わったルックを持ちながら物語は案外分かりやすい冒険談だったので驚いた。過去のランティモス映画と比べ、不気味さは殆どなくどんな人にもお勧めできる映画だと思う。勿論、R18的な演出は多いのでそこは注意ですが。
主人公ベラは精神と肉体が一致していない人物。なので突拍子のない行動を繰り返す。タブーとされる性欲をオープンにしたり、レストランでまずい食べ物を吐き出したり。そんな彼女が社会に触れ、周囲の人々と触れ合い、少しずつ大人へと成長していく。それまで自分を縛り付けていた存在から自身の力で抜け出し、一人の人間として社会で自立していく。そんな物語を完璧な演技で魅せたエマ・ストーンは本当に素晴らしかった。OPとEDの彼女は全くの別人。物語の中で少しずつ成長していくその過程。とても興味深く、素晴らしい演技の切り分けだと思った。細かな視線や表情、手足の動かし方までが変わっていて面白い。
衣装デザインも素晴らしい。エマはスタイルが良いので「クルエラ」の時も思ったけれどモデルが着るような派手な服が本当に似合う。そんな彼女の姿を見ているだけで本当に楽しかった。
物語運びも絵本のような奇抜さがありながらも内容は中々にブラック。コメディでもあるので、鑑賞中思わず噴き出してしまうシーンも。不安定で不気味でありながらもどこか可愛げのあるサウンドや絵作り。主人公のベラという人間そのものを表していて本当に凄い。
総評として、今まで見たことのない奇想天外なファンタジー映画という印象でかなり好きだった。ベラのように、屈託のない純粋な心で人と接し、物事を社会的な視点で捉え、学びを深め自立していく、そんな生き方がしたい。
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