本当に嫌な気分になりました。やはりギャスパー・ノエ監督は人を不快にさせる天才であり、「アレックス」という作品は映画史に残る超絶胸糞映画だなと改めて感じた。
通常版より段違いに話の流れが分かりやすくなった事により気づく、最悪すぎる伏線回収や登場人物の変化してゆく細かな心情。脚本が凄すぎる。監督の他作品にも共通して言えることだが、彼はとにかく自然なコミュニケーションを描くのが上手い。中でも、会話で意見が相違した時に感じる煩わしさの描き方が秀逸。会話シーンがリアルだからこそ、観客も一緒に嫌な気分になる。
そして演技が素晴らしい。例の惨劇シーンでの迫真の演技、細かな体の震えや声の出し方、復讐に燃える男が段々と我を失っていく様子等々。長回しが多い作品でありながら、そのどれもが自然で全て実際に起きていることのように見えた。タクシーの中の掛け合いは台詞回しも含めクオリティが凄まじく本当に好きなシーン。
全体を通して今作verの方が圧倒的に見やすい上、嫌な気分になれると思う。ただ、ラストとOPはオリジナルの方が断然最悪で良い。2パターン見る事でイヤーな深みが増す構造、最高。
