千年女優

哀れなるものたちの千年女優のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.0
ビクトリア朝のロンドン。ロンドン橋から投身したところ前衛的な外科医ゴドウィンに救われた成人女性で、脳の損傷によって幼児程度の知識に戻ったベラ。自分の欲望に貪欲で知識を得るにつれて自由を求める様になった彼女が、弁護士ダンカンと駆け落ちして性の快楽や貧富に傲慢が渦巻く世界を旅する様を描いたコメディドラマ映画です。

カンヌ国際映画祭ある視点部門グランプリ受賞の『籠の中の乙女』を始めユニークな作風で高い評価を受けるギリシャ人監督ヨルゴス・ランティモスがアラスター・グレイの小説を映画化した作品で、『女王陛下のお気に入り』でもタッグを組んだ主演エマ・ストーンと共に批評家から絶賛されてアカデミー賞らの各賞にノミネートされました。

ファンタジー風味の変人達の寓話を綴ってきた中期までのスタイルに
『女王陛下…』で得た大作のノウハウを加えて着実なスケールアップを果たしていて、好演のストーンと共に女性フランケンシュタインの大冒険という荒唐無稽劇を成立させます。伝統を言い訳に様々な理不尽の残る封建的な世界に人間的な欲望を掲げて解放を迫る一作です。
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