名波ジャパン10

哀れなるものたちの名波ジャパン10のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.7
アカデミー賞11部門ノミネート作品。作品賞、主演女優賞、撮影賞、衣装デザイン賞の受賞は確実ではないでしょうか。とはいえ、最近のアカデミー賞受賞作品と同様、受賞作と面白い映画は別物。正直、演出過剰で胃もたれする作品でした。元々、ランティモス監督とエマ・ストーンの前作「女王陛下のお気に入り」の撮影中、本作の原作小説に惚れ込んだランティモス監督の映画化構想にエマ・ストーンが乗っかって2人のタッグで制作された作品です。それぞれの想いがギッシリ詰まった作品といえます。エマ・ストーンの文字通り体を張った演技は賞賛に値しますが、それ故に日本ではR18に指定されてしまいましたし、作品そのもののメッセージを歪曲させる原因となっています。監督の想いも溢れすぎて、あまりに多くのテーマとエピソードを盛り込んだ結果、観客にとって焦点のボケた冗長な作品になってしまいました。映画人が作りたい作品と観客が観たい作品とは別物であることの見本の様な作品です。アカデミー賞受賞予想をしたいといった類の方以外にはお薦め出来ない作品です。