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哀れなるものたちのJのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

天才外科医ゴッドウィン・バクスターの家に招かれた学生は「なんて美しい痴人か」と感嘆の息を漏らす。年齢に不釣り合いな言動を繰り返すその女性・ベラは、実は自らの胎児の脳を移植されて奇跡的に蘇生していた。

やがて自らが監禁状態にあると気が付いた彼女は「世界を自分の目で見たい」という強い欲望に駆られる。婚姻の書類作成のため屋敷に立ち寄った弁護士・ダンカンに誘われ、大陸横断の旅に出る。この時点から映像に色が加わり、ベラの内面に大きな変化があったことが視聴者にも伝わる。

セックスシーンが全体の7割と聞いて逡巡していたが、体感半分くらいだった。あまり抵抗なく観られた理由は、ベラの純粋無垢な反応を通して(世間一般で目を背けられるような事柄であっても)肯定的、好意的に捉えることが出来たからだと思う。

また今作はフェミニズム的な側面も強く、始めは無垢なベラにつけ込んで搾取してやろうとするダンカンが、嫉妬に身を焦がし金庫の金を使い果たされて、最終的には破滅に追い込まれるさまが何とも滑稽。マーク・ラファロのコミカルな表情がそれに拍車をかけている。この辺りをどう観るかは正直好みが分かれそう。ベラの元旦那も清々しいまでのモラハラ男だったとはいえ、あんな事に……。

エマ・ストーンの演技力に脱帽。よくここまでヌードシーンの多い脚本を引き受けてくれたものだと思わずにいられない。彼女の圧倒的な美しさが一般常識に囚われ偏見まみれの私を解き放ってくれた。

兎に角最高。まとめきれない。
まだ始まったばかりだが、現時点で2024年個人的ベスト映画。
ベラという「実験体」の成長を、実の父のように見守りつい感情移入してしまうゴッド。自らの意思でその死に際に寄り添う、ベラ。同じく向かい側にはマッキャンドルズ。世間から弾き出された彼らの奏でる、奇妙な人間賛歌。大好きなシーンだった。
どうか序盤で変態趣味の哲学的な作品だと決め打つのはやめて頂きたい。
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