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哀れなるものたちのnurukoのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
5.0
な、なんだこの最高に面白くて美しくて非の打ち所がない映画は……。感動と興奮が凄まじい。キューブリックの作品を観た時に感じた胸の高鳴りを思い出した。座席からしばらく立てなくて、譫言のように「すごい……すごすぎる……」って呟いてた。映画史に残る作品に立ち会った気がするし、オールタイムベスト入りです。とりあえず言わせて欲しい。

大傑作!!!


以下ネタバレ含みます。


「私は私自身の主人である」ということをこんなにも高らかに軽やかに宣言する主人公に私は出会ったことがないと思うし、ベラを見ているだけで勇気や力が湧いてくるような気がする。

彼女がスポンジのように様々な事を吸収し、社会で当たり前とされていることに対して疑問を投げかけ成長していく姿は見ていて清々しい。

リスボンでエッグタルトを好きなだけ食べて吐く姿は、嘔吐シーンのある映画にハズレなし説にまたひとつの作品が加わったことを私に確信させた。

ベラが船で出会うマーサ婦人やハリー青年がまたいい。本をダンカンに捨てられたベラにさっと新しい本を手渡すマーサのシーンは言わずもがな。現実主義のハリーに「あなたは怖がりなのね」というベラの言葉にもハッとさせられた。ベラはより険しい道かもしれないが、希望を捨てないでよりよく生きることを選びたいと思う。それが頼もしく愛しい。

パリでダンカンに口汚く罵られても「自分で稼いでる」と言い放つベラの頼もしいこと。娼館仲間の女性もまた素敵。

ベラからのプロポーズシーンも大好きだ。

美術と衣装も素晴らしい。次はどんな服を着てるのかな?とワクワクさせられる映画は初めての体験だった。

ダンスシーンも最高!!あのシーンだけGIFにして永遠に見ていたい。

役者に関しては、エマ・ストーンが過去最高に素晴らしかったのは疑う余地もないし、マーク・ラファロのダンカンが馬鹿で愚かで哀れなのにどこか可愛いところがあるのもさすがだった。

というわけで、Filmarksのベストムービーを更新しました。
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