ハヤメソソ

哀れなるものたちのハヤメソソのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.3
この世界観よ!!
そしてこのオチよ…!

監督の美的こだわりと世界観大爆発な作品でしたが、ダークファンタジーの様なテイストもあり。
社会派な要素もあり。
女性の性の解放部分は、まるで少し前に見た「ラ・メゾン 小説家と娼婦」の様でした。
人体・動物実験はグロテスクでおぞましさもあるのだけれど、それ以外の要素が徹底した美的センスで固められていて、そこにとにかく圧倒された。
船の造形とデザインすごくないか。
美術パートスタッフ頑張ったなぁ…。
(やっすい感想)

エマ・ストーンが全身全霊を捧げて演じたベラは、体が大人で中身が幼児なところから、側と中が合ってくるまでの成長を、見るものに違和感なく伝えてきました。
あの歩き方とか、いつまでたどたどしいんだろって思ってたけど、気付いたら大人の女性の歩き方になっていて感心しました。
教養がなく感性も若いから性に夢中になり、その後本を読んで知的さが増すと世界がまた違って見える…という人間の正しい(?)成長過程を汲んでいて、ベラの心の流れはしっくり来ました。
ただ、自分の出自が人体実験のためと知ったら気が狂っちゃいそうだけど、そこはファンタジーか。
とにもかくにも圧巻の美術は、必見!!
「ザ・セル」を撮った、ターセム・シン監督の世界観?なんかが好きな人にはハマるかな?
この突き抜けた独特の世界観は、近年ではカラックスの「アネット」以来かな。