脳みそや解剖死体の背景たちが生々しさをもってリアリティを主張してくるけど、これはファンタジーだ！
不穏に鳴り響く音楽、モノクロだったり色鮮やかだったりする世界、継ぎ合わされた奇妙な動物たち。それから不自然なほどパッパッと居場所が移っていく描写は童話とかおとぎ話の手法だ。
大げさなカメラワークやぎゅっと焦点を絞った映像が現実味を薄くしていく。
ベラは好奇心の塊で、両親が冒険家だったよと話を聞かされたり、科学者のゴッドに育てられたりしたせいか常に無謀の血が騒ぐ。タブーがない。最初は自分の「知りたい」「やりたい」ままに動きモノを言い、ダンカンの感傷的な気持ちが汲めない。
そこから人の悲しみを知り、自分のやりたいことを知り、やってはいけないことを知り、精神年齢が外見年齢に一致していく。
自分のルーツを知った彼女が元凶となる相手に向き合っていくシーンが本当に味わい深かった。女であり妻であり娘であるベラが男であり夫であり父である相手と話す時、彼女の精神、アイデンティティはどの立場にあるのか。内面の揺らぎの想像を掻き立てさせるような演技だったと思う。
女性が己を知り社会を知り自分で立つストーリーなんだけど、脳手術とか倫理のタブーとかの要素が入ってくるとこんなに面白いんだなって！すごくよかった。また観たい！
