マンゴー

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちのマンゴーのレビュー・感想・評価

4.8
この映画は本物だなあと思った。マットデイモンを役者として観られなかった。ずっと本物だと思わせられていた。

似た境遇のお子さんの対応をしたことがあって、もちろんウィルみたいな世紀の天才とかではないんだけど、あの、傷付けられてきた子どもは傷付けられる前に相手を傷付けようとする、その攻防の、あの流れ。

周囲の観察のすばやさ、矢継ぎ早に話題を移し、誇示、イニシアチブの先取、相手のほんのわずかな綻びを見つけ出し言葉で切り裂く。相手が傷付く何かを鋭く見出す力がある。

一連の流れがほんとうにそのもので、ひとときも隙を作れなかった当時を思い出して息を呑んだ。
あの子も泣いていた。君は悪くないと受容してもらって泣いていた。そこに辿り着くまでに長い時間がかかった。
この映画を観ながら、あの子のことを思い出してずっと胸が詰まる想いだった。
マンゴー

マンゴー