フリーアズアバード

哀れなるものたちのフリーアズアバードのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.2
前作で"まるくなった"印象を受けたランティモス度が戻ってきた感があって、嬉しい限り。大好物な監督作であるものの、141分の中で、ひと時も退屈を感じる瞬間がなかった。鑑賞前は「どうなの?」って思っていたベラの設定が話が進むにつれて、完全に腹落ち。作品の主題に強い説得力を持たせてました。

また衣装やアートワークは作品ごとにクリエイティブが上がっていきますね(個人的にはCG?っぽい映像は好きでは無いですが)。構成はベラの成長に合わせてでしょうか、モノクロとカラーを使い分け、私は意味は理解できませんでしたが時々魚眼?の画角になったりと、これまた飽きさせないモノでした。

そして本作もキャストが素晴らしい布陣。エマストーンの凄さが際立っていたのが、性的描写の強いシーンでも、作品の本質から鑑賞者の視点を逸らさない表現力。そしてマークラファロも演じ方によってはシラける難しい役所を、見事に演じ切ってました。

そしてそして、脚本的にはランティモス史上最も"わかりやすい"お話になってましたが、終盤の衝撃が「まさかのこのままハッピーエンドか?」の展開でしたが、そこは最後までランティモスでした。