ゆのは

哀れなるものたちのゆのはのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.1
ゴールデングローブ賞受賞作品。
昨年の同時期に公開した
「Babylon」を彷彿させる
クレイジーさに期待して鑑賞。

たしかにカルト感は
極めていたが、
女性讃歌であり
社会を風刺的に描いた
傑作だと思う。
いや、マイノリティ讃歌と
でも言えようか。

社会から虐げられた人々。
社会的地位の高い人々は
彼らを哀れむ。しかし、
本当に哀れなのは、
与えられた地位で権力を持ち、
高圧的な態度で
弱者を支配する人々である。
弱者という言い方も
本来は間違った表現と
言えるだろう。

白紙説、性善説、性悪説を問う
ような内容も含まれていたが、
結局のところ人々の価値観とは、
社会が作り上げたものにすぎず、
彼らに優劣の差はない。
劣ったと見なされる人々も
環境さえ手にすることができたら、
変わることができるだろう。
何なら彼らが今より良い社会を
実現してくれるかもしれない。

主人公はベラだが、
様々な人々を通して
不条理な社会と
そうした見えないシステムの
破壊が描かれていた。

アート×カルトの
哲学的な話かと思いきや、
かなりの社会派ドラマ。

強いて言うなら、
男と女で完全に性別が
分けられているような様は、
いくらか古い考え方に感じられた。
しかし、いつの時代かすら
明確ではない独自性に富んだ
世界観とユーモアのある描き方で、
ありきたりではあるが
現代社会の闇を浮き彫りにした。

アカデミー賞ノミネート
されたんだっけ?
レイティングに左右されないなら
作品賞受賞もおかしくない。
それくらい素晴らしい。
ゆのは

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