さよこ

哀れなるものたちのさよこのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.6
【どえらい映画を観てしまった。怪作…!】
SNSで絶賛されてるのをみてチケ購入✌

🪿全体の感想
なんていうか、アートとグロテスクと哲学をごった煮したような作品で、心が思考に追いつかない。とんでもない作品を観てしまったぞという気持ち。

🪿命への挑戦
予告を観たときに、愛する人を復活させるストーリーかと思ってたんだけど、全然そんなことはなくて神様への冒涜ともいえる命への挑戦だった。人間の一生には限りがあること、動物がありのままの姿で生きることを是としない倫理観に目眩がした。けどゴッドの生い立ちを考えると、同情心も芽生えるし、偉大なる父親の面影を追っているともいえるので、全部を否定をする気になれなかった。彼もまた飽くなき好奇心に呑み込まれた1人なのだ。

🪿性への関心
外部的な刺激から内面的な繋がりに緩やかに移行していく過程は、なんだか一次性徴〜二次性徴を見ているようだった。また視野が広がるにつれて知的好奇心に引っ張られ、性欲が影を潜める点も興味深かった。

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⚠️この先、ネタバレあります⚠️
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🪿好きな台詞
『君の身体だ。君の自由にしたらいい』

🪿気になったところ
ベラは唯一無二の存在でいて欲しかったんだけど、ゴッドが寂しさ紛れに二体目を造ってしまったのはちょっと哀しかった。

🪿出生の秘密
ベラが出生の秘密を知ったシーンは、画家ゴッホが少年時代に自分の名前の墓を見つけたときのエピソードを連想させた。ゴッホは自分の存在がぐらりと揺らいだ感覚になったようだが、ベラは特殊な人と特殊な環境で暮らしていたこともあり、そこまでショックを受けているようには見えず(どちらかというと自分のことなのに内緒にされていたことへの憤り?)、ベラの心境をもう少し知りたかった。

🪿その他、いろいろ
・マーク・ラファロの小並感
・マーク・ラファロのダンス可愛い
・いつの間にかフランス語まで習得してる
・自分のものにならないと分かった途端に出現する、あの加害性の正体はなんだろうか…
・皮肉屋とおばあちゃんのコンビ良かった
・おばあちゃん肝座りすぎてて好き
・ゴッドは話を誤魔化したいときに、やたら小難しいことを言い出して煙に巻くなぁ…
・これは必要な臓器だと分かった、の台詞でゾワっとした。ゴッドの父親ヤバすぎるよ…
・性教育って実技…!?
・ベラが殺されるかと思ってヒヤヒヤした
・ゴッドの脳を移植するかと思った
・マーク・ラファロを逃がしてあげたのはせめてもの温情か。庭に転がってたっておかしくない。

【余談1】
他の方のレビューで「胎児の性別はどっちだったんだろ」て書いてあって、その視点なかったから確かに…!と思った。

【余談2】
性に奔放だからといって、自らその業界に飛び込むのは稀だとは思うけど、最近だとMINAMOちゃんがポジティブな理由を公言しているので、決して『身体を売る=可哀想』ではないんだよね…と思いながら観てました。MINAMOちゃんいつも楽しそうで大好き。
さよこ

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