哀れなるものたちのYKNのネタバレレビュー・内容・結末

正直深すぎて言葉が出ないです。
色んな見方ができるこの映画を見た感想を文章にできる人が羨ましい。

ベラという美しく無垢な女性の成長物語。

初めは魚眼で丸く歪んだモノクロの世界。ベラが外の世界に出ることにより視界が色付いていく。
エマ・ストーンの演技が本当に凄かった。かなりファンタジー強めのストーリーだけど、きっとリアルだったらこうなんだろうな、と演技から色々感じられることも多かった。もっと世界を見たい、知りたい、自由が欲しいという女性の成長過程がとても分かりやすい演じ分けだったと思う。

邦題は「哀れなるものたち」だけど、それが一体誰なのかを討論するならば、私は男女に隔てなく人間は欲にまみれている哀れで愚かな生き物だと思った。それに気づいて悟りを開いている人も船上で出会いましたね。
でもまあ絵に書いたように人間の醜い欲求が全て詰まっているダンカンは救いようがありませんね。

人間はいつだって人生を豊かなものにするために刺激を求める。結局何事も知識欲というものが最初で、それが人間にとって1番強い欲求なのではないかと思います。

ベラはマックスと結婚する前に世界を知ることを選ぶけど、まだ何も知らない無垢なベラがその選択をした事がすごいと思った。マックスの優しさや愛は他を知ることでしか気づけなかったのだと、後になって思います。結局最後に愛は勝つんだなって。一通り世界を見て回ったベラが選んだ道が、社会主義的なことが答えかなと思います。

映像音楽衣装物語全てにおいて美しくて儚く、まるで芸術作品のような悪夢でした。