画面の隅々までの奇妙なディテールの異様な美しさに、これはわたしの目はもう少しも目が定まらない。ベラの幼子から老婆になるまでを、ほんのひととき、たったひとつの変わらぬ身体で経験するような、目眩く奇想冒険譚。
そうだな、この時間感覚「ベンジャミン・バトン」とどこか似てる。描かれてはいないけれどベラのこれからの「老い」それは一体どうなるのか。髪の毛が日に2センチ伸びる人間の寿命は幾ばくなのだろうか。
チャールズ・レニー・マッキントッシュを下敷きにしたようなアールデコの奇妙で美しい創造主との住まい。きゃー憧れのヴンター・カンマー。生まれたての彼女の部屋は優しく柔らかな美しい刺繍の綿入れのような壁の隔離室。ああなんて美しい牢獄。しかも外観は放蕩の子が帰還するにふさわしい薔薇色ピンク!
リスボン・パリ。
ベラの牡蠣のような衣装も本当に面白くて。上半身はたっぷりの襞のボリュームスリーブなのに下はパンツ一丁というその無垢なベラの性のその表象w そして大きく開いた2本の足で立つ。ひとりで。
いや、これはもう一度じっくりディテールを観たい作品。