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哀れなるものたちのesのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

父権社会からの女性の解放よりも、社会思想の変容変質に重きが置かれているように感じた。

自然的欲求に従い社会規範に縛られずにディオゲネス的生活を無知故に行なっていた者が、社会構造を知り貧富の差に衝撃を受ける。富の独占が無くなれば、労働者と待遇が改善されれば、より良い社会に繋がるのではないかと社会主義的な考えを持ち始めるが、理想を現実にする為には構造を基盤から変える為の権力が必要になる。純粋であったはずの思想に悪意が持ち込まれると理想の社会は歪み狂気に染まっていく。
最終的には自分の思想に反しない者や従属する者のみを周りに起き理想の楽園を目指すようになる。


フランケンシュタイン博士が生み出そうとしたものは理想の詰まった完璧な人間だったが、結果として生まれたのは社会に受け入れられない生き物だった。
思想家が生み出してきた理想的な社会を目指すための思想も、運用すると穴だらけであり社会に受け入れられる為に理想から離れた形で変容してしまう。
思想の変質と暴走を痛感させられるラストだった。
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