おぺちょぺ

哀れなるものたちのおぺちょぺのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.7
TOHOシネマズすすきのにて鑑賞。
その後、人生ベスト級に好きだと思ったので、109シネマズプレミアム新宿にて、一生に一度の気持ちでドルビーアトモスプレミアムシートS席で鑑賞(6,500円也)。価格に対しては全く満足していないが、作品は文句なし!

「強烈」「大胆」という評は事前に見ていて、言いたいことはわかる。受け入れられない人がいることも理解する。でも、「下品」と言っている人は本当にこの作品観たの?
これほどに知性と教養の豊かさ、そして常にアップデートすることの重要性を描いた「上品」な作品があろうか。

風俗通いの男性の悲哀にまで言及していたのは、あまりにも高度な描写でガツンときた。風俗に行く男性も自己愛が欠落し、自らを傷つけているのだということまでも描くとは。ベラが客に対してジョークを言い、二人で心から笑い合うシーンは思い出すだけでも涙ぐんでしまう。
ただ、前戯なしの性行為や、避妊について一切触れていない点についての批判はもっともであると思う。

鑑賞後、私は『哀れなるものたち』は一義的には女性(ベラ)を貶め、利用し、蔑むものたちであると解釈した。ダンカンをはじめとする有害な男性は、作中でしっかりと裁きを受けている。
そして、人はみな誰かを傷つけ、それでも生きていかなければならない、『哀れなるもの』であるというメッセージも受け取った。だから、私はラストをハッピーエンドであると捉えている。