このレビューはネタバレを含みます
最悪も最高もごちゃ混ぜに雑然とした社会の中に激しく輝く光が現れ、それらを焼き尽くすくらいに飛び回る、その美しさ!
そして憧れ。
誰しもこんな自由奔放で賢い女性になりたい。
でも私たちは混然とした社会の一部になってしまったし、気弱で絶望を抱える皮肉屋でしかない。
そんな現実を受け止めながらも、哀れに日々を生き続ける私たちも美しい。
そう思えた。
自分を導く賢い老婆と、愛を支配だと思い込んで自由を奪ってくる哀れな男。そして献身的な愛情を与えてくれる存在と出会い、暴力、善、理不尽、死、愛を知り成長していく。
1人の人間の成長を描く中で出てくるキャラクターたちはどれも個性的で、でもどこか自分と同じ人生の捉え方であったり感情の揺れ動きだったりする。特に船で会った皮肉屋のセリフや行動は重なる部分があった。