はなたまご

哀れなるものたちのはなたまごのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
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天才医師による脳移植手術を受け、新たなる人格としてよみがえった女性、ベラのお話。

無邪気かつ無知ゆえに、獣のような残酷性と理性の無さを見せていたベラが、物語が進み、世の中の不条理や醜さを目の当たりにしていくうちに、この世界での役割や生きる意味を見つけ、成長していくさまが印象的だった。「理性」という言葉がキーワードなのかと思った。理性があるようでない人間、理性を得た人間、理性を保とうともがく人間。みんな人間であることに変わりはないが、なぜだか見え方がまったく違う。ラストシーンはその違和感を衝撃的な形で演出していたと思う。

映像の奇妙さと不気味な音楽にもついぞ引き込まれた。不思議な体験だった。