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哀れなるものたちのK27Tのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.0
ヨルゴス・ランティモス監督の独特なセンスがやっぱり光ってるなと感じ彼の作品って、いつも現実を歪めたような不思議な視点があってそこが大好き。今回はヴィクトリア朝風の奇妙な世界で、フランケンシュタイン的な物語を展開するんだけど、相変わらずのシニカルでユーモラスなタッチが最高
。特に人間の欲望や自由をめっちゃ生々しく、でもどこか詩的に描く手腕はさすがランティモスって感じ。

そして、エマ・ストーンの演技がもう圧巻。主人公ベラの純粋さと野性味、成長していく過程を完璧に体現してて、観てて引き込まれっぱなしだった。赤ちゃんみたいに無垢なところから、だんだん自我に目覚めていく表情や仕草が本当にすごい。彼女のキャリアでもトップクラスのパフォーマンスだと思うし、ランティモスとの相性も抜群だよね。

ただ、世界観に関してはちょっと引っかかるところがあった。ビジュアル自体はめっちゃ凝ってて、アートみたいに美しいんだけど、どこか「デリカテッセン」みたいな不気味で閉鎖的な雰囲気を感じてしまって。食べ物とかグロテスクな要素がちらつくあの感じが苦手な自分としては、少し胃が重くなる瞬間があったかな。でも、それがこの映画の味でもあるんだろうし、好きな人はたまらないんだろうなとも思う。

全体的には、ランティモスのファンなら絶対楽しめるし、エマ・ストーンの演技だけでも観る価値あり。自分みたいに奇妙な世界観に少し抵抗がある人でも、その裏にあるテーマの深さに引き込まれる何かがあるよ。
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