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#ミトヤマネのryoのネタバレレビュー・内容・結末

#ミトヤマネ(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

映像演出やギミックも皮肉感や遊び心あるものも含めて最高に面白くて、興奮しながら観ていた。
日本的な社会×SNS時代の過渡期におけるファイトクラブ的展開。
ラストの世界の壊し方も今の日本の現状にハマりまくっていてグッとくるものがあった。
音楽、音響も抜群。

考察とかめちゃくちゃあるのかと思って調べると話題や評判になってなさすぎて、
何故かと思ったら、他地域ではシネコンばかりの公開。これまた狂気を感じる。。。



ハッシュタグとしてのミトヤマネ。
人間臭さのないまさに仮面としての存在。

前半は作られた情報として、
現代のSNSやネット社会の嘘っぽい感覚に溢れながらも、一方でイキイキした#ミトヤマネやミホが画面に映っている感じ。
人間らしさを求める旧時代的なテレビやドラマのコンテンツになると、#ミトヤマネの不自然さがかなり際立つのも面白い。
テスラが空を飛んでいるシーンとか他にも色々面白い映像演出。

それが、後半クラブのシーンで画面にノイズが起こり、フィルムっぽい質感で空が映し出されてから、リアルなこちら側の社会が舞台になった感じ。
架空に作り上げられた#ミトヤマネが子供の頃に飼ったという亀が逃げ出す監視カメラの映像が映し出され、ミホを皆が追いかけ、ミホが一人っ子として育った家に帰ったりもする。更地になった実家の前で近所の人と話している時のミホの顔のアップショットの素顔感にグッとくる。
宮崎監督のVIDEOPHOBIAとの繋がりも示唆される。
そして#ミトヤマネとミホはディープフェイク云々の件に巻き込まれた結果、
現代日本あるあるの本当に訳がわからない、主体性のない叩きにあう。
しかも、叩く人も誰なのか分からず、叩いている対象も何なのかよく分からない狂気。


旧態的な作りものとしての人間らしさ(それを元にした繋がりや構造も含め?何かは分からない)を一旦全部殺せばSNS上やデータの中で繋がりや自然が生まれイキイキした違う意味での人間らしさが回復するのに、
これがリアルな世界の旧態的な人間らしさ、特に日本的な、意味を失った集団意識や全体主義的な世界(形式上の繋がりとか?概念化した倫理観とか?)に
どっぷりとハマり込みながらSNSに依存することで、世界はおかしくなっているように感じた。その作りものとしての人間らしさを前提として、それを加速させるSNSになっているのは、まずいなと。
決して、ネットやSNSが悪なのではない。
逆に本来は希望や革命でもあるように思うのに。

そして、、、
#ミトヤマネが1人で街を歩き、コインロッカーに何かを入れ、リアルな街=監視カメラを切断して、犯行声明を発信する。

#ミトヤマネが、
現代のリアルな世界における訳のわからない、
余りにも概念化し固体化してしまった繋がりや倫理観をぶち壊して、切断して、新たな繋がりを作る。
そんな感じで、意外に前向きに捉え、エンドロールの曲で上がりまくって、興奮して映画館を出た。

そう思えたのも、#ミトヤマネがミホをスマホで撮影するという行為があり、
そして何となくミホの過去やあの素顔ショットの空気感を#ミトヤマネが吸収していたようにみえたからだが、
今となってはそこまでポジティブに捉えていいのかよく分からない。。。
もう一度観たい。
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